ディオール映画の傑作! おばあちゃんハリスはドレスに魅せられて……… 夢を叶えたドキュメンタリー 

ディオール映画、と言われたら、どんな映画を思い浮かべるでしょうか。
香水・オートクチュールドレス・メットガラ・セレブ・ファッションの中心etc.
華やかで美しいことこの上ない映像と香りが浮かびます。

でもここでご紹介するディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』はちょっと違います。
決してセレブなんかではない、どこにでもいる59歳独身女性が巻き起こす物語。
私たちにも起こせるかもしれない奇跡の、物語です。

愉快!痛快!
感動のそのあとに、
元気と勇気が湧いてきます。

ディオールの映画『ミセスハリスパリへ行く』痛快!あらすじは?夢を叶えた原動力は何?

映画『ミセスハリスパリへ行く』のあらすじを紹介させてください。

時は1957年。第二次世界大戦後。
最初の舞台はロンドン。
主人公は、戦争で夫を亡くした59歳独身の女性、ミセスハリス。家政婦をしています。

ある日、家主の部屋で、得も言われぬ美しさのドレスに遭遇します。

腕もデコルテも思いっきり出す形の、ウエストがリボンできゅっとなったワンピース。
真珠の光沢をもった、白ともピンクとも言えるようなシルクのそのドレス。

思わずドレスを手に取るミセスハリス。
いい感じにしわに覆われた白いミセスハリスの手と、きらびやかに陽光を受けるドレス。

見とれるミセスハリスに、主人は教えます。
このドレスが500ポンドであること(今の日本なら5000円×500=2,500,000円!?)
ディオールというブランドのドレスであること。

値段に、卒倒しそうになるミセスハリス。
だって、ミセスハリスのお給料は、現代日本の円に換算すれば、100,000円/月ほど。
そのドレスは、彼女の年収2年分にあたるのです。

ですが同時に、彼女はディオールのドレスの虜になり、決めるのです。
ディオールのドレスを着る!と。
つまり、ディオールのドレスを買う!パリに行く!と。

さて結末はいかに、
とネタバレをさけて、ここまでであらすじを終えるのが定石かもしれませんが、
映画『ミセスハリスパリへ行く』は、ここからの物語をこそお伝えしたいです。
映画『ミセスハリスパリへ行く』は、ここから、予想をはるかに超えてきます。

年収2年分のお金を貯める件のリアルったら。
仕事を増やし、ドッグレースにまで手を出します。(そうでもしなきゃ、ね。)
このあたりの現実味と、ミセスハリスのたくましさが痛快です。
何歳からだって、夢は叶えてみせましょう、と
私たちに挑んでくるようです。
明るくてかわいくて、まるで悲壮感がありません。
一歩ずつ夢に近づくのをかみしめ楽しんでいるかのよう。

そして、もちろん目標金額達成。
勇んで、パリに行きます。
つまり、ドレス代だけでなく、渡航費用だってちゃんと貯められました。

なのになのに、
ディオールは、甘くない!!ディオールの壁は高い!

庶民であるミセスハリスには想像もできなかったのですが、
ディオールでドレスを買うということは、
まず、ファッションショーに招待され、
ドレスを選び、
試着・仮縫いを何度も繰り返して、
縫いあがるまでパリ滞在の必要があったのです。

ファッションショーに招待される伝手をつくり、
ドレスが縫いあがるまで一体どれだけの費用がかかることか。
何をどうすれば、ディオールの中に足を踏み入れられるのか。
威圧的なディオールの支配人コルベールに認めさせられるか。

ここからのミセスハリスの奮闘が見ものなのです。
ここからこそがディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』の魅力です。
持ち前の明るさとユーモアとたくましさと温かさで、
次々周りの人たちを巻き込んで、、、、
いや、私の筆力では、ミセスハリスが起こす本当の奇跡を表現することができません!

どうぞ、劇場でご覧ください。

そうだ、ディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』は、
アメリカでは1000館以下の上映だったにも関わらず、
反響を呼び、異例のロングラン上映だったと聞きます。
そのうち、ネットフリックスとかでも観られるようになるかもしれません。

 

ディオール 映画 ミセスハリスは実在する?ドキュメンタリー?『ミセスハリスパリへ行く』の原作は?

映画『ハリスおばさんパリへ行く』には原作小説があります。
原題は『Mrs Harris Goes to Paris』。
ポール・ギャリコの作で、1970年代にアメリカで発刊されたようです。
日本では1979年に『ハリスおばさんパリへ行く』(講談社文庫)として発刊。
「ミセスハリスシリーズ」としてフアン読者も多数いたようです。
現代では加筆修正されて角川文庫化したものが出ています。

舞台は1950年代のロンドン。
シリーズ一貫して、ミセスハリスは、
夢を持ち、誇りを失わず、他人のためにこそひと踏ん張りしまうキャラクターらしいです。
そして、いつも、自分の足でまず一歩を踏み出す、というキャラクターのようです。
だから、思いがけず、
ニューヨークへ行き、モスクワに行き、国会議員にまでなってしまうらしいです。

ディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』では、
パリへ行ってしまい、クリスチャン・ディオールのドレスを手に入れるわけですが、
ミセスハリスVSディオールのマネージャー、
庶民のフラットな世界VSセレブの階級社会、みたいな構図が見えました。
作者ポール・ギャレコは、ミセスハリスに、
当時台頭してきた庶民の自由主義・民主主義みたいなものを反映させたかったのかもしれないなあ、
と思えます。

結論、
ディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』は、ドキュメンタリーではありませんでした。

ミセスハリスは実在しなかったようですが、
1950年代に、明るくたくましくチャレンジし続けて夢を叶えた人々が、ミセスハリスが、
アメリカやイギリスや、世界中にいたのだろうなと思います。

今も、ミセスハリスはあちこちにいて、
私たちも、ミセスハリスになれるんですよね。

 

ディオール 映画 『ミセスハリスパリへ行く』衣装もディオール?ハリスが魅せられたドレスとは?

こちらも結論から。
ディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』の衣装は、
ディオールのものではない、ということです。

けれど、
衣装デザインを手がけたジェニー・ビーヴァンは、
クリスチャン・ディオール社の全面協力を得て、アーカイブでデザインを研究。
1950年代のディオール作品を極力「再現した」と言います。
苦労したのは生地だったそうで、当時のものを再現するために織りからはじめたものもあるそう。

ミセスハリスが、映画『ミセスハリスパリへ行く』で最初に手にした例のドレスは、
「ディオールのドレスは、ただのドレスじゃないのよ。」
の台詞通り、夢の原動力。
それにふさわしいドレスを求めて、ゼロからデザインしたそうです。
「ヴィーナス」と名付けられたそのドレスは、圧倒的な美しさと上品さとを持っています。

「ヴィーナス」のみならず、
登場するドレスの数々が、ツイッター上に掲載されています。
画面越しにも息をのむ美しさで、
ディオール好き、ファッション好きならずとも、
映画『ミセスハリスパリへ行く』は、美術鑑賞としても観る価値ありです。

ディオールなら「香水」「オートクチュール」モチーフにした映画はある?

ディオール映画、と調べると7本の映画がありました。
タイトルと、ディオールとの関りを、並べてみます。

1.ミセスハリスパリへ行く(2022)
ディオールのドレスに魅せられたロンドンの家政婦ミセスハリスが、お金を貯め、パリへ。なんとかディオールのドレスを着たいとあれやこれやと奮闘するお話。ほっこりして勇気ももらえる。

2.オートクチュール(2021)
退職間近な、ディオールオートクチュール部門アトリエ責任者、エステル。ラストになるコレクション直前、地下鉄でハンドバックをひったくられる。犯人は若い女性、郊外に住む移民2世の少女だった。二人の人生が交錯。ポスターには、真っ赤なドレスをきた女性。これは、あの少女では?

3.ディオールと私(2014)
ドキュメンタリー。ディオールのアーティスティックデザイナーに大抜擢されたラフ・シモンズに密着。彼女初のオートクチュール・コレクションを発表するまでの8週間。
うわあ!世界的高級ブランド「ディオール」の舞台裏を観られるんですね。

4.NOSE 調香師 ‒ 世界で最も神秘的な仕事(2021)
公式サイトには「メゾン ディオールの驚くべきフレグランス クリエイションの魅力に迫る、初のドキュメンタリー映画。」と紹介されています。「ディオール専属のパフューマー クリエイター、フランソワ・ドゥマシーを2年に渡り撮影し、その芸術ともいえる想像力と、神秘のヴェールに包まれた類まれな調香技術による創作の過程を記録」とのこと。
「香り」を「映像」で記録する?!これはすごくすごく興味があります。「香り」を何万語もの言葉の組み合わせで表現する、ということなら想像がつくような。「香り」が「色」になり「形」になり、「音」をまとうんでしょうか。これは、どうしても観たい!です。

5.パリの調香師(2020)
パリを舞台に、世界最高峰で勝負する女性調香師の再起を描く物語。ディオールの調香師たちが監修し全面協力した作品。

6.アラベスク(2010)
主演のソフィアローレンの衣装を手がけたのがディオールだったそう。

7.さよならをもう一度(1998)
フランソワーズ・サガンの小説『ブラームスはお好き』を映画化した作品。主演のイングリッド・バーグマンの衣装デザインがディオールだったそう。

 

ディオールは、映画という芸術の歴史で、
周辺の物語そのものがストーリーとなり、
また、パリをはじめとした美しい都市を舞台にし、
名だたる美しい女優達を彩って、
その存在感を放っていました。

ディオール 映画 『ミセスハリスパリへ行く』上映館は?いつまで上映される?

まず、いつまでか、というと、
2022年11月日本公開のこの映画『ミセスハリスパリへ行く』は、
2023年2月11日までは、確実にどこかで上映されているようです。
ただし、2023年1月27日現在では、
映画『ミセスハリスパリへ行く』公式サイトで確認すると、
公開当初、全国100館ほどの上映だったのが。全国20館ほどに縮小しているようです。

ディオール映画『ミセスハリスパリへ行く』上映の20館を、サイトから引用して列挙します。

1.山形:フォーラム東根
2.福島:フォーラム福島
3.千葉:キネマ旬報シアター
4.東京:TOHOシネマズシャンテ
5.東京:下高井戸シネマ
6.東京:キネカ大森
7.神奈川:シネマジャック/ベティ
8.神奈川:川崎市アートセンター
9.栃木:フォーラム那須塩原
10.群馬:前橋シネマハウス
11.福井:福井メトロ劇場
12.愛知:センチュリーシネマ
13.愛知:刈谷日劇
14.京都:京都みなみ会館
15.大阪:シネマート心斎橋
16.兵庫:塚口サンサン劇場
17.兵庫:シネ・ピピア
18.広島:シネマ尾道
19.愛媛:シネマルナティック
20.佐賀:THEATER ENYA

映画『ミセスハリスパリへ行く』
ミセスハリスが起こすあったかい奇跡に、巻き込まれてみませんか?

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