『超高速参勤交代(2013)がおもしろい!
その続編『超高速参勤交代リターンズ(2016)』もまた、おもしろいです。
何がそんなにおもしろいのでしょう。
『超高速参勤交代』と、その続編『超高速参勤交代リターンズ』。
その魅力をちょっと深堀してみます。
『超高速参勤交代』キャストの妙は「違和感」『超高速参勤交代リターンズ』キャストもご紹介
映画『超高速!参勤交代』、続編『超高速!参勤交代リターンズ』はおもしろい!
なってったって、面白いのは、そのキャスト!
観る前は、意外過ぎて???だらけ。
で、観るとこれが「絶妙、、、、」と随所でつぶやきが出ます。
キャスト一覧を見ると、
まあ、見事に、多方向に「キャラ立ち」している皆さんのお名前。
これ、ひとつにまとまる?と要らぬ心配をしてしまうほどでした。
また、そのひとりひとりの役どころを調べると、
いちいち、違和感。
ミスマッチなキャスティング、とさえ思えるのです。
しかも、ひとつのシーン、ひとつの物語に、この面々が一緒に同時にいるなんて、
平安朝と現代、宮廷生活と庶民生活、大河ドラマとバラエティと歌番組のごった煮になるのでは?
みたいな。
勝手なイメージですけれど。(笑)
はてさて、どうなる?と思いながら観ましたよ、私。
主人公の弱小藩主役に佐々木蔵之介。
佐々木蔵之介自身は、洛中に唯一残る京都市の造り酒屋の次男だそうです。
いかにもノーブルな容姿を、プロフィールが裏付けている感じです。
ストイックにやせていて、182cmと思えぬほど動きに滑らかさと切れと品がある俳優さん。
その佐々木蔵之介が弱小藩の藩主。
しかも、現福島県いわき市の湯長谷藩(貧乏藩)4代藩主にして、
お人好し、気前良すぎ、磐城弁丸出し、愛されキャラです。
これ、三枚目キャラですよね。
佐々木蔵之介にこのキャラを当てますか?
そう思いましたよ。
そしたら、これが見事はまります。
育ちの良さからくる?根っからの人の好さがにじみ出ます。
さらに、方言のあったかさや間の取り方、くるくる動く表情、特にあの大きな目の豊かな使い方、
佐々木蔵之介は、コメディアンでもあったのね、と発見!
そして、極めつけは、時代劇の神髄である殺陣の美しさ。
これぞ佐々木蔵之介!的なはまり具合。
知的で猟奇的で冷静な殺人犯とか
少々コミュ障の独身貴族とか
優美極まりない平安貴族とかが
似合うと勝手に思っていた自分の浅はかさを知りました。
うーん、俳優さんてすごい。
キャスティングしただろう、監督(元木克英)って、脚本家(土橋章宏)ってすごいです。
その他にも、
おバカキャラ(すみません!)でブレークした上地雄介が冷静な理論派武士の役とか、
いかにもお姫様役をやりそうな深田恭子が飯炊き女役とか、
お小姓ならぴったりの知念侑李(Hey! Say! JUMP)が弓の達人で、美しいお尻まで披露するとか、
この人なら馬子かしら?の柄本時生が二刀流の達人とか、
他にも挙げたらきりがないくらい、意外性マックスなキャスティングなのです。
そして、この個性派ぞろいの一団が
とてもとてもよくまとまったそうで、
ひとりひとりが自分の役を全うすることで、自然にチームになったのだとか。
そうさせた脚本・原作(ともに土橋章宏)の魅力もわかろうというもの。
映画.COMというサイトにはこんな評価がありました。
時代劇の新たな潮流が生まれる予感がした。
そうなんです。
腹切りもなく、座禅もなく、じっと耐える女もいない。
踊りだしたくなるような、歌いだしたくなるような、走り出したくなるような、
大笑いできる時代劇。
確かに、「シン・時代劇」の予感があります。
その記事の佐々木蔵之介のインタビューも引用します。
もちろん(ぼくの)代表作になりました。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』キャストの妙が生む実話ならではのリアリティ! あらすじ紹介 脚本はノベライズ本に
さてその映画『超高速参勤交代』のあらすじですが、
要は、
日本史授業では小学校からお馴染みの、江戸時代の参勤交代のお話。
幕府の陰謀で、たった5日以内に参勤交代せよとの無理難題を吹っ掛けられた貧乏小藩が、意地と知恵でこの危機に立ち向かう奇想天外な作戦の行方をユーモラスに描く。
というお話。
参勤交代は
大名家が豊かに強くなりすぎないよう、散財させる江戸幕府の制度。
大名は、一年間国元で暮らしたら、次の一年間は江戸で暮らす、というもので、
国元と江戸とを、毎年毎年、場合によっては何か月もかけて移動する制度です。
『超高速参勤交代』は、陸奥国磐城の小藩・湯長谷藩の藩主内藤政醇(まさあつ)が主人公。
れっきとした実在の人物で、8代将軍の頃のお話です。
政醇(まさあつ)が一年間の江戸づめを終えて、国元に帰り着いたら、
自分に代わって江戸にいるはずの家老が目の前にいます。
手には幕府老中からの命令書。
「5日のうちに帰ってこい」
江戸から湯長谷藩までは約210km。
大名が移動するとなれば、それ相応の家来を連れ馬を並べ、「下に~下に~」と声かけて、、、
記録によれば時速500m。
人目がないところで駆け足したのか、平均時速は3kmほどらしく、
一日に(10時間)300kmくらい進んだらしいです。
210kmなら、急いでも1週間を要します。
しかも、今、この行程を帰ってきて、へとへと。
病弱な藩主なら命を落とすらしい過酷な行軍だそうで、
加えて、大名行列にはお金がかかる!
加賀藩(2000人超と馬)の例だと一泊、現在のお金に換算して、953万円/日!!!
その1/10の規模だとしても、毎日100万円ほどはかかるのです。
これは、嫌がらせ以外の何物でもない!!
現に、これは、政醇(まさあつ=佐々木蔵之介)を陥れ、藩を潰すための陰謀だったのです。
弱小ながら湯長谷藩には金山があるのですが、
これを幕府直属にしようと画策した老中らが、
政醇(まさあつ)に不正があったとして、呼び出したのです。
無論、五日で江戸に戻る体力も財力もないと踏んだうえでの無理難題。
しかも4年前の飢饉の影響が色濃く残る藩財政だというのに。
五日以内に参内しなければ、不正を認めたことになり、藩は取り潰し、というわけです。
ここで、今までの時代劇なら
切腹して藩は守る、とか、江戸城に切り込んで大立ち回り、名誉は守る、とかになりそうですが、
『超高速参勤交代』はそこが違います。
清廉潔白な政醇(まさあつ)は、賄賂を良しとせず、
互いに信頼しあう家臣や領民たちと知恵を出し合い力を合わせて、
この難題に立ち向かうのです、老獪な知恵袋の家臣の案を使って。
ここからが、キャスト陣の個性のみせどころ。それまでの各々のイメージを裏切られつつ痛快!
知恵者の家臣に西村和彦。
剣術達者な家臣団のリーダーに寺脇康文。
冷静沈着な理論派家臣に上地雄介。
槍の名手に六角精児。
政醇(まさあつ)を陥れる黒幕には陣内孝則。
などなど。
是非、『超高速参勤交代』『超高速リターンズ』でお楽しみください。
(『超高速参勤交代』の続編が『超高速参勤交代リターンズ』。こんどは急いで帰るんです。笑)
家柄によっては家臣団数百人もろとも、「下に~下に~」と叫びながら進むそうで、
そのスピードは時速500mとも言われます。(大人の徒歩平均スピードは時速4km)
一日10時間歩いても5km。
ま、これは、きっと、大勢の人が観ているときだけで、
実際には、一日30kmくらいは進んだらしく、時速3kmほどらしいです。
何百人が格式に見合った荷物と殿さまの籠担いでいたわけなので、
通常参勤交代でも、これは相当速い。
それが本作『超高速参勤交代』は、「超高速」なのですから、
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』キャストが再現!実話も紹介
驚きなのは、『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』が実話だったということ。
キャストが演じた役名も、全て実在し、記録が残っているのだとか。
原作は、土橋章宏の時代小説で
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』それぞれ、約350ページ400ページの長編。
科学的実証的と言えるほどに、いろんな数値がリアルで、
綿密な下調べがあったんだろうなと、小説の出来上がる過程にも興味が湧きます。
参考文献となった古書の記録も正確だったことが裏付けられるというものです。
時代劇をコメディにするという先駆け的な作品です。
そればかりか、埋もれた史実や歴史上の人物を世に出した意義もありそうです。
湯長谷藩は、現在の福島県いわき市内に実在した藩。
「磐城平藩の支藩で石高は一万五千高」だったそう。
「一万五千石」は15000人を雇える額ということになるから、
ひとり平均450万円の給与として、現代の金額に換算すると6兆7500億円。
多そうに聞こえますが、
あくまで、これはお米で支払われるという建前。
けれど現物支給でなく、領地の予想取れ高なわけです。
飢饉や冷害で収穫が減っても保障はされないし、豊作なら幕府に収める税金が増えるらしいです。
穫れた米を現金化するのも藩で、両替商には手数料を払わなくてはなりません。
さらに、一年に一回およそ100万円×7日間ほどは参勤交代のために確実に出費。
その上、江戸城の改修だとか、藩内の公共施設の整備だとかにもお金を出します。
唯一素晴らしいのは、戦がなくなったこと。
けれど、それで暇になった武士は、悪事に頭を使う余裕ができて、
昔のテレビ時代劇さながらに、贈賄収賄が横行し、
清廉潔白でお人好しの内藤政醇(まさあつ)のような藩主やその藩は、
経済的には豊かとはいえなかったようです。
そんな社会でも、明るい人はたくましい人。
知恵と勇気と信頼を武器に、巨悪に立ち向かって、見事勝ってしまいました。
『超高速参勤交代』は、
そんな藩主と家臣たち、そして領民が成し遂げた奇想天外な超高速の210km物語。
原作者の土橋章宏は、この原作脚本で2011年第37回城戸賞を受賞。
しかも、前人未到の全審査員満点という高評価を得たのだと言います。
そのまま、すぐ映画化されたのだそう。
「現実は小説より奇なり」
そして、その「希=まれなる」江戸時代の実話が
土橋章宏とキャスト陣によって、
映画『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』として現代によみがえった、
と言ったところでしょうか。
なお、土橋章宏による同名小説『超高速!参勤交代』は、脚本からのノベライズです。
その続編『超高速!参勤交代リターンズ』(原作本は『超高速!参勤交代 老中の逆襲』)とともに。
文庫化もされています。
時代劇の新たな潮流が生まれる予感がした。
監督本木克英は、脚本を読んだ瞬間、そう思ったそうです。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』 キャストを活かしたロケ地の壮大さ 愉快痛快ロードムービーに!
「時代劇に新潮流」を生んだと評される『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』ですが、
時代劇ならではの魅力もたっぷりです。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』が、
時代劇ならではの魅力を増幅したのがロケ地です。
時代劇と言えば、撮影場所は京都、と限定されそうですが、
今では山形県鶴岡市の庄内オープンセットがあります。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』のベースとなった実話の
ご当地は福島県いわき市ですから、
お隣山形県で撮影できるのは好条件です。
湯永谷藩の江戸時代当時の、
山並みを含めた藩領内のロケーションに肉薄できたのではないでしょうか。
音楽やセット、ロケーションは、俳優から演技を引き出す働きをします。
この時代映画『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』は、
数々の選び抜かれたロケーションが、おもしろさ・見ごたえの要因かもしれません。
湯長谷藩VS御庭番衆100人の大乱闘も、
超高速で参勤交代する湯永谷藩主とその家臣団のロードムービー的なストーリーも、
映画館でこそ堪能したくなる、
大スケール・美ビジュアルの作品になっています。
では、ロケ地を列挙してみます。
1.山形県鶴岡市 庄内映画村
2.山形県戸沢村 幻想の森
3.山形県酒田市 庄内海岸
4.山形県山形市 霞城公園
5.静岡県島田市 蓬莱橋
6.福井県池田町 葛橋
7.京都府京都市 松竹撮影所
8.兵庫県篠山市 篠山城大書院
9.兵庫県姫路市 姫路城
どのロケ地も、江戸時代かと見まごうロケーションが広がっています。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』ロケ地巡り、
と題して、旅行している方も多数いらっしゃるそうです。
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』こぼれ話 G1出走馬出演?!!!
『超高速参勤交代』『超高速参勤交代リターンズ』の見どころとして、
こんな情報もありました!
G1レース出走馬のシャコーグレイドが出演していることがわかった。
だそうです!!
(私には、どの馬なのかさっぱり、、、、焦)
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