ナワリヌイ氏(プーチンが最も恐れる男)の毒殺未遂を追う実録映画!2023英アカデミー賞受賞

英国アカデミー賞 2023長編ドキュメンタリー映画賞受賞!!

「ナワリヌイ」という映画を紹介させてください。

「トップガンを凌ぐ迫力だ」とさえ評する評論家がいます。

なぜなら、
実在の人物ナワリヌイ氏が、現実に狙われた毒殺未遂事件を
当のナワリヌイ氏自身が、チームを立ち上げ解明する過程を、「記録」した映画なのです。

奇跡的に一命をとりとめたナワリヌイ氏が病院を出た直後から密着したダニエル・ロアー監督による正真正銘の実録映画です。

映画「ナワリヌイ」、観る価値ありです。

 

プーチンが最も恐れる男=ナワリヌイ氏とは?wikiより

映画「ナワリヌイ」。

この映画「ナワリヌイ」は、アレクセイ・ナワリヌイ氏に密着し記録したドキュメンタリーです。

毒殺未遂事件の被害者となりながら、自らチームを結成して真相を突き止め、映画タイトルになってしまうナワリヌイ氏とは、いったいどんな人物なのでしょうか。

 

1776年生まれの46歳。長身痩躯(推定:身長190cm体重85kg)。顔は、スパイシリーズ「007」の主人公ダニエル・クレーグそっくり。言わば、イケオジ、といったルックスです。
SNS世代の若者を中心に支持者が多い一因は、このルックスによるものかもかもしれません。

そのナワリヌイ氏に、世界のメディアが冠した代名詞こそが、「プーチンが最も恐れる男」。

ロシアの一弁護士であり一政治活動家であるナワリヌイ氏は、
2009年、当時すでにロシア大統領として独裁体制を築いていたプーチンの、不正を暴き、公然と批判して、禁固刑を受けました。これを機にナワリヌイ氏のブログは英語で発信され、世界中にその存在を知られることとなります。
2010年には、次世代リーダーの世界的ネットワークをつくるために設けられた「ワールドフェロープログラム」で「ワールドフェロー」に選ばれます。これによって、米国イエール大学から旅費を含めた資金提供を受け、米国イエール大学で3か月間の研修を受けています。

世界中から、次世代のリーダーとして期待された人物だったということになるでしょう。

更に2011年には、英国BBCが「過去5年の間ロシアに現れた反体制派の人物で、唯一重要な人物」と評し、
2012年には、米国『ウォールストリートジャーナル』が「プーチンが最も恐れる男」と紹介するや否や、これがナワリヌイ氏の代名詞となったようです。
同じ2012年、米国『タイム』誌が「2012年版 世界で最も影響力のある100人」に選出しています。ロシア人では、ナワリヌイ氏ただひとりだったということです。

こうして世界中から注目されるナワリヌイ氏は、ロシア国内では、2009年を皮切りに、2011年・2012年・2013年・2018年と何度も逮捕され拘留されています。それぞれ、下院議員選挙・大統領選挙・モスクワ市長選挙・大統領選挙といった選挙の前後です。

市民の絶大な支持を受け、デモや集会で大勢の民衆を集めてしまうナワリヌイ氏。
プーチンは、自分を脅かす存在として、この若く背の高いナワリヌイ氏を心底恐れていたに違いありません。この一連の逮捕拘留は、プーチンがナワリヌイ氏を恐れ、その活動を封じ込めようとした証だろうと思われます。

対して、ナワリヌイ氏は、この間に党首として「進歩党」を結成し、合法的に政治改革を進めようと活動しました。権力に屈することはなかったのです。そればかりか、獄中からも、家族や支持者を介してインスタグラム・ブログ・ユーチューブ等で発信し続け、世界中に理解と支持を広げ続けています。

独裁体制の下で、独裁者その人を批判しデモの中心となり禁固刑を受ける。ナワリヌイ氏の意志が強さがうかがえます。客観的な根拠をもって人々の心を動かす科学的思考の持ち主であり、民主主義の明るい未来を示して人々をリードする人物なのだろうと推察できます。人望は、ルックスに拠るものだけではないようです。

そして、こうしたロシアの改革をめざす政治活動の最中、2020年8月20日、事件は起こるのです。

映画「ナワリヌイ」 ノビチョク検出?ナワリヌイ氏毒殺未遂事件とは?

ドキュメンタリー映画「ナワリヌイ」は、
ナワリヌイ氏本人が毒殺未遂事件の被害者となり、奇跡的に生還した直後、
ナワリヌイ氏自身が事件解明のチームを立ち上げ、調査し始めるところから密着した、生の記録映像そのものです。

監督ダニエル・ロアーは、新進気鋭の29歳。毒殺未遂事件の直後から、ナワリヌイ氏や家族に密着して記録し続け、秘密裏にこの映画「ナワリヌイ」を制作したと言います。

 

事件の経緯を短くまとめます。

2020年8月20日、ロシア国内線の機内で、ナワリヌイ氏は突然苦しみ悶えた末、意識不明の昏睡状態に陥ります。

機長の機転で、目的地モスクワの途中にある町に緊急着陸し、最寄りの病院に搬送されます。

ここで、応急処置を施され一命をとりとめますが、原因も明かされず治療も進まないことに疑い抱いた妻ユリア氏は、病院の反対を押し切ってドイツの病院にナワリヌイ氏を搬送してしまいます。

ドイツの病院では、原因となった薬物が特定され、適切な治療が施されます。やがて、意識は戻り、ナワリヌイ氏は回復します。

もし、機長の機転がなくモスクワへ向かっていたら、、、
もし、緊急着陸した町の病院で適切な応急処置を施せる医師に逢わなかったら、、、
もし、妻ユリア氏がドイツに連れて行かなかったら、、、
もし、ドイツの病院が原因薬物を特定できなかったら(ノビチョクは、通常、短時間で痕跡が亡くなるのだそうです。)、、、

ナワリヌイ氏は、いくつもの奇跡的な巡りあわせの中で、まさに奇跡的に一命をとりとめたのです。

 

それにしても、この事件は腑に落ちないことだらけだったようです。

ナワリヌイ氏は、自分が命を狙われていることを意識して生活しており、自分か家族が用意したものしか口にしなかったと言います。機内で唯一口にしたのは持参した紅茶だけだそうです。その紅茶からは、薬物は一切出なかったということです。

また、即効性のある薬物にも関わらず、機内に持ち込まれた形跡がないそうです。

薬物の名は「ノビチョク」。致死率ほぼ100%の毒薬。国際条例で禁止薬物とされるものだと判明します。ナワリヌイ氏の体表から検出された「ノビチョク」は、世界中どの国でも入手できないばかりか、製造を禁止されているそうで、万が一にも使われることがあれば、被害がナワリヌイ氏ひとりで済みようもないほど強い毒性をもった薬物だということです。ナワリヌイ氏ひとりを死に追いやるとしたら、専門的な知識と緻密な計画性・実行する高度な技術が必要だそうです。

ちなみに、例の緊急着陸した町で応急処置を施した医師は、直後に欠勤し、自宅で不審な死を遂げていたそうです。

 

ナワリヌイ氏は、自分の毒殺未遂事件を、他でもない、ナワリヌイ氏自身で追究し始めるのです。
明らかに、自分を死に至らしめようとした存在に、ナワリヌイ氏自身が立ち向かうのです。

 

 

ナワリヌイ氏+べリングキャットが暴く 毒殺未遂事件の真相 犯人は!?

奇跡的に一命をとりとめただけでなく、驚異の回復を見せたナワリヌイ氏。

ナワリヌイ氏が病院を出られるようになって真っ先にしたことは、
ある調査集団との接触です。
(この時点からすでに、監督ダニエル・ドアーはカメラを携え密着。)

調査集団の名は、べリングキャット。
イギリスに本拠をおき、インターネット上の公開情報だけを使って、各国の政府や軍・諜報機関並みの調査を行うことで注目された集団です。
そのべリングキャットは、主にSNSなどの膨大な画像情報を重ね、撮影場所・日時等を特定することで、事件や事故の真相を、誰にも納得できるよう、客観的に突き止め証明するという手法で調査すると言います。
サラリーマンだったヒギンス氏は、オンラインゲーム感覚でリビア内線の真実を探り当て、自身のブログに公開したそうです。
その意義深さと面白さに惹かれて、世界中のハイパーなパソコンオタクの皆さん50人ほどがヒギンズ氏のもとに集結。そしてできたのが調査集団べリングキャットだそうです(2014)。
「猫の首に鈴をつける」ことを意味するべリングキャットは、「だれもが怖気づくようなものの首にも鈴をつけるネズミになる」=「だれもが怖気づくものに挑む」集団になろうという決意でつけた名前だそうです。

さて、このべリングキャットが、まさに
「だれもが怖気づく猫=プーチン」の、犯罪を暴こうとするナワリヌイ氏と手を結びます。

ベリングキャットの主任調査員グロゼフ氏は、毒物兵器を開発していた研究所を特定(ロシア国内)。さらに「ノビチョク」製造の証拠を見つけるのです。そして、関係者の通話記録を入手。事件当日前後にナワリヌイ氏と同じ行動をしていたグループを、焙り出します。

ここからはナワリヌイ氏自身の出番です。
ナワリヌイ氏は偽名を使い、FSB(連邦保安局高官)を装い、毒殺を命じられたとされるロシアの諜報機関関係者に直接電話をするのです。
これが、どんなに危険な行為なのか。
ロシアで起こる数々の変死事件を思えば、スクリーン越しだというのに、観ていて恐怖で震えます。

ロシア語でやり取りされる、緊迫の瞬間を、どうか映画でご覧ください。
映画評論家のひとりは、「『トップガン』を上回る迫力だ」と評したくらいです。

ドキュメンタリーにして、上質のミステリーになっているというこの映画「ナワリヌイ」。
ナワリヌイ氏との、真実に迫ろうとする不屈の闘志と情熱、それらに裏打ちされながらも怜悧な科学者的アプローチ。
ナワリヌイ氏の思いを形にしたべリングキャット。
それら一連の調査活動を、逐一記録し、映画にしたたダニエル・ロアー監督。

実話なんだ、現実なんだと思うと、一層心がゆりうごかされます。

ナワリヌイ氏が、ロシア大統領になる姿をこの目で観たい、と私は思いました。

 

ナワリヌイ氏の現在は?

映画「ナワリヌイ」で白日の下に晒したナワリヌイ氏毒殺未遂事件の真相。

ですが、「犯人」はその後、またもや不審な死を遂げていたそうです。

そして、ナワリヌイ氏は、と言えば、
逮捕監禁されることを百も承知でロシアに帰ります。
国の外にいるより、たとえ監獄の中であろうと、国の中で市民とともに闘いたいという思いからだそうです。

そして、案の定、捏造された過去の罪状をもとに、空港で逮捕されます。
ナワリヌイ氏を待ち受けていた多くの支援者が待つ予定の空港を避け、突然の航路変更をさせるほどに、プーチンは彼の影響力を恐れています。

ナワリヌイ氏は、今現在、ロシア国内でもっとも恐れられる刑務所に収監されています。

「もし私が殺されることになったら、それは私たちがそれほど彼らにとって脅威だということだ。諦めてはならない」
ナワリヌイ氏が、支持者に語った言葉だそうです。

ナワリヌイ氏は、あきらめていません。

ナワリヌイ氏、2022ノーベル平和賞候補に!!

現在はロシア国内に収監中のナワリヌイ氏ですが、2022年のノーベル平和賞候補として名前が挙がっています。
兵役を逃れ、国民がロシアを捨てて出国する中、徴兵とウクライナ侵攻に、反対の声を挙げ民主化の道を切り開こうとしている人々もいます。
世界の平和のため、その後ろ盾として、収監中のナワリヌイ氏の民主化への思いと努力を発信するためにも、是非とも受賞してほしいです。

ノーベル平和賞は、日本時間の10月7日18:00以降に発表予定です。

尚、10月3日から10日、生理学賞から順次発表される予定だそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました